口腔外科 Surgery

口腔外科とは Oral surgery

口腔外科とは

口腔外科ではお口の中だけでなく、顎やお口周りなどの病気やケガなどの診療を行ないます。スポーツ中のケガや交通事故などによるお口周辺の外科的な治療、親知らずの抜歯、顎の違和感や痛み、歯ぎしりの改善なども口腔外科に含まれます。「歯の痛みではないけれど、歯医者さんで治療してくれるのだろうか?」と思われた症状は、口腔外科に含まれるかもしれません。
お口に関わる運動に異常があると、食事や会話などに支障が出ることがあります。また、全身的な症状につながるおそれもあるので、お口周りで気になることがございましたらご相談ください。検査をして難症例と判明した場合は、大阪病院など提携している病院をご紹介します。

親知らずの抜歯 Wisdom tooth

親知らずの抜歯

親知らずは、まっすぐに生えていたり、噛み合わせに必要な状態だったりするならば抜かなくてよい場合もあります。しかし、生え方によってはほかの歯や歯肉が痛むなどの影響を与えていることがあります。また、歯ブラシが届きにくいので虫歯や歯周病にかかりやすく、放置してしまうと強い痛みを感じるおそれがあります。このような症状になってから治療を始めると抜歯の処置だけでなく、虫歯の治療なども必要になってしまいます。親知らずの生え方などが気になるようであれば、早めに受診しましょう。

親知らずの抜歯をしたほうがいいケース

以下に挙げるようなトラブルがある場合は、親知らずを抜歯した方が良い可能性があります。気になる場合は受診し、どのような状態なのか確認してもらいましょう。

  • 虫歯や歯周病にかかっている
  • 斜めまたは横向きに生えている
  • 歯並びや噛み合わせに悪い影響を与えている
  • 周りの歯肉が腫れている
  • 歯肉や隣の歯などが痛む

顎関節症 Temporomandibular disorders

顎関節症

顎関節症は、顎を動かすときに雑音がする、顎の関節や咀嚼筋(そしゃくきん)の痛み、口が開かないといった症状の総合的な名称です。これらのうち1つ以上の症状が見られ、顎関節症以外の病気がないと考えられるときに顎関節症と診断されます。
顎関節症にかかると、硬いものが食べられず顎が疲れる、顎を開いたときのクリック音がわずらわしいといった症状が現れることがあるほか、顎周辺の筋肉の緊張によって頭痛や肩こりといった全身症状につながることもあります。

顎関節症の治療

顎関節症の治療

歯列にプラスチックでできたマウスピース型の装置を装着していただく、スプリントによる治療を行ないます。顎関節や周囲の筋肉への負担は、夜眠っているときなどに無意識に生じていることがあります。就寝時にスプリントをつけていただくことで食いしばりや歯ぎしりによる負担を軽減し、顎関節症の症状を落ち着かせていきます。スプリントにはさまざまな種類があり、患者さまの症状から判断してより適切なタイプのスプリントを作製します。
また、痛みが強い場合は鎮痛剤で対応することもあります。

事故やスポーツなどの外傷 Injury

事故やスポーツなどの外傷

外傷でよく見られるのが、お口の中を切るケガです。事故やスポーツだけに限らず、活発なお子さまが転倒する際などにも、お口の中を切るケースが目立ちます。治療の際は洗浄と消毒をしっかり行ない、出血や痛みを抑えるために縫合します。場合によっては歯や顎が損傷を受けることもあるので検査をし、問題がないか調べます。
また、ケガによって歯が抜けてしまうこともあります。再植できる可能性があるので、抜けた歯が乾燥しないように口の中に含むか牛乳に浸すなどして、できるだけ早くお持ちください。

口腔粘膜疾患 Stomatitis

口腔粘膜疾患

お口の粘膜に起きるさまざまな疾患を指して「口腔粘膜疾患」とよんでいます。口腔粘膜のみに生じる疾患もありますが、なかには全身疾患の部分的な症状として口腔粘膜に異変が現れることもあるので、注意が必要です。
口腔粘膜は食事や歯、それに入れ歯などによる刺激で傷つきやすく、感染を起こしやすい部位です。粘膜や舌が白くなって痛みも出る白板症や、痛みや味覚障害が出る口腔カンジダ症、それに口内炎など、さまざまな病気が考えられます。口腔内の粘膜に異変が生じたら、歯科医院へご相談ください。

歯ぎしり、食いしばりの治療
「ボツリヌス製剤の注射」
Botulinum

歯ぎしり、食いしばりの治療「ボツリヌス製剤の注射」

歯ぎしりや食いしばりの習慣が続いてしまうと、顎関節症を引き起こして肩こりや頭痛につながるおそれがあります。歯ぎしりや食いしばりの原因はさまざまなものがありますが、前歯を使わず奥歯で噛む癖がある方やストレスを感じている方は強い緊張状態にあり、睡眠時にも強く噛んでしまうという習慣になってしまうことがあります。
こうした歯ぎしりなどの改善方法として、ボツリヌス製剤の注射があります。「ボツリヌストキシン」とよばれる成分を筋肉に注射し、筋肉の働きを弱くして緊張をほぐします。主に噛むときに使う「咬筋」という筋肉に注射し、症状を緩和させます。注射後は1~2週間で効果が安定しはじめ、4~6ヵ月ほど持続します。

口腔外科治療にともなう一般的なリスク・副作用

  1. 症状や治療内容によっては保険を適用できますが、機能性や審美性を重視するため、基本的には自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
  2. 手術後、歯肉・顎などの炎症・疼痛・腫れ、組織治癒の遅延などが現れることがあります。
  3. 手術後、薬剤の服用により眠気、めまい、吐き気などの副作用が現れることがあります。

親知らずの抜歯にともなう一般的なリスク・副作用

  1. 基本的には保険での診療となりますが、治療内容によっては自費(保険適用外)となることもあり、保険診療よりも高額になります。
  2. 抜歯後の数日は、腫れや痛み、出血が止まらないことがありますが、多くの場合、数日から1週間ほどでおさまります。
  3. 下唇から下がしびれる神経麻痺を生じることがあります。
  4. 舌の一部または全部の神経が麻痺し、味覚も麻痺する場合があります。
  5. 下顎を抜歯した場合、抜歯した傷口から空気が入り、突然頬や顎が腫れることがあります。

顎関節症治療にともなう一般的なリスク・副作用

  1. 基本的には保険での診療となりますが、治療内容によっては自費(保険適用外)となることもあり、保険診療よりも高額になります。
  2. 薬物療法で鎮痛消炎剤や筋弛緩剤を使う場合、胃腸障害、眠気、倦怠感などを引き起こすことがあります。
  3. スプリント治療やプレート治療を行なう場合、装着を怠ると治療期間が長引くことがあります。
  4. 顎関節症は矯正治療により改善されることもありますが、矯正治療と関係なく悪化することもあります。矯正治療を行なったからといって、必ず顎関節症が治るというわけではありません。現段階で、顎関節症と矯正治療との明確な因果関係は示されていません。

スプリント療法にともなう一般的なリスク・副作用

  1. 保険適用になることもありますが、症状やスプリント(マウスピース)の種類などによっては自費診療となります。詳細は歯科医師にご確認ください。
  2. スプリントにより顎関節の状態が改善しても、かみ合わせの状態を治さないと後戻りすることがあります。
  3. 筋肉に調和したスプリントを作製しないと、症状が悪化することがあります。

A型ボツリヌス毒素製剤の注入にともなう一般的なリスク・副作用

  1. 機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
  2. 効果には個人差がありますが、一般的には3〜6ヵ月程度となり、永続的ではありません。
  3. 注射の際、痛みや腫れ、内出血を起こすことがあります。
  4. 注射2〜3日後に一時的に噛み疲れのようなだるさを感じることがあります。
  5. A型ボツリヌス毒素は熱に弱いため、施術直後は激しい運動、サウナ、長風呂、飲酒など汗をかくような行為は控えてください。
  6. A型ボツリヌス毒素が拡散してしまう可能性があるため、施術後しばらくは顔のマッサージを控えてください。
  7. アレルギー症状が出ることがあります。
  8. 過剰投与すると効果が低下することがあります。
  9. 緊張筋以外の部位に投与すると、食事をとりにくくなることがあります。
  10. 筋弛緩作用のある薬を内服中の方には、施術できないことがあります。
  11. 妊娠中の方、授乳中の方、妊娠の疑いがある方には施術できません。